あなたは、会社からもらう給与のうち、「時間外労働」や「休日労働」についてどのように算出されているかご存じですか?時間外労働や休日労働、深夜労働の賃金については、労働基準法によって定められており、雇用主(会社)はそれにしたがって算出された賃金を労働者に支払う義務があるのです。
「割増賃金」の算出方法は次の通りとなっています。
※1 基本給から、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金(結婚手当、慶弔金など)・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)などを除いたものを指します。
※2 会社が独自に就業規則等で定めている労働時間です。
具体的には、(月全体の日数-会社が定めている休日)×1日の労働時間 となります。
ただし、会社が、就業規則などで、法定労働時間(8時間)に満たない時間を設定している(7時間など)場合には、その所定労働時間を超えても、法定労働時間を超えるまでは割増賃金を支払う義務は発生しません。
さて、この「割増率」ですが、下表の通り定められています。
※3 法定休日とは、労働基準法で定めた休日のことで、毎週少なくとも1日または4週で4日以上与えなくてはならない、とされている休日です。労働組合によって決められた休日は「法定外休日」となり、これとは異なります。
深夜労働の割増率が、細かく分かれているのが分かりますね。
具体的な例をあげてみましょう。
ところで、最近よく目にする「みなし労働制」においてはどのように取り扱われるのでしょうか。
「みなし労働制」とは、一日の大半を、客先、外回りで過ごす営業マンや、特殊な技術の研究開発を行う場合、業務が月末や、月初に集中しているなど、仕事の進捗状況により日々の労働時間が大きく異なる職種の場合に適用される制度です。労働時間は、一日としてではなく、一週間や、一か月、あるいは一年という大きなくくりの中で管理されます。この場合、あらかじめ「○○時間働いた」とみなすわけですから、基本的には残業時間は「みなした時間」に含まれますが、労働者がみなした時間以上働いた場合や、労働時間として制定されていない休日や深夜に業務が及んだ場合においては、労働者は、当然、残業代、割増賃金を受け取る権利がありますので、雇用主はもちろん、労働者本人も労働時間の管理はしておかなくてはいけません。
ご自身の給与明細を見てみましょう。割増賃金は正しく算出されていますか?
雇用主と、より良い関係で働くことが出来るためにも、正しい知識を持つ事も必要です。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。