2008年1月、東京地裁は、マクドナルド店長の訴えに対し「店長」は「管理監督者」にあたらないとの判決を下しました。これをきっかけに、メディアを通して耳にすることが多くなった「名ばかり管理職」という言葉。とうとう、2008年の「新語・流行語トップテン(ユーキャン)」に入ってしまった程です。
「名ばかり管理職」ってなんでしょうか?何が問題になっているのでしょうか?
労働者の最低権利を守る基本法律「労働基準法」において、労働者の労働時間や、時間外労働の割増賃金などが定められ、その義務が経営者に課せられています。しかし、この労働基準法の例外措置があります。それが、「管理監督者」です。「管理監督者」には「労働時間の規制」や「残業代支払いの義務」が適用されません
管理監督者とは次を満たさくてはいけません。
・出退勤の自由度が高い
・経営者と一体的立場である
・賃金面で一般の従業員より高い処遇を受けている
つまり、部長、工場長のように、労働条件の決定その他労働管理について経営者と一体的な立場にある特別な人であるので、労働基準法によって守られるべき対象から外した、という事です。
「名ばかり管理職問題」とは、この例外措置を経営者側が都合よく解釈したことから生まれた問題です。社内の一職制にすぎない「課長」などを「管理監督者」扱いにし、残業代を支払わないという問題が起きたのです。「課長」は「管理者」であっても多くの場合「管理監督者」ではありません。実に7割の企業で、実際は出退勤の自由を持たない課長が残業代を支払われていなかったという調査結果も出ています。また、正社員の部下が一人もいないような店で「店長」とさせられながらも、100時間を超える残業を課せられ、残業代は一切支払われない、などというケースも多発していたのです。
この問題は、マクドナルドの店長 高野さんによる勇気ある訴えによって露見したという事です。
これが許されるわけがありません。これは、「賃金不払い残業」と呼ぶべき問題なのです。シフトを組みこまれ、残業を余儀なくされる彼らは、「監督、管理者の地位」にはない「名ばかり管理監督者」であり、労働基準法に基づいて守られるべき人なのです。経営者は「労働基準法違反」です。
08年の東京地裁の判決を受け、マクドナルドだけでなく、多くの流通業界で方針を転換する企業が増えつつあります。しかし、まだまだ、問題が解決されていない会社もたくさんあります。
労働者は、その労働に対しての賃金を受ける権利があります。「名ばかり管理職」に甘んじてはいけません。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。