「所定労働時間」という言葉の意味をきちんと理解していますか?所定労働時間は、労働基準法が定める「法定労働時間」とは異なります。所定労働時間は、法定労働時間を超えない範囲で各事業所が定めた労働時間です。
法定労働時間は40時間(一部44時間)/週、8時間/日を上限と定めていますので、もし、所定労働時間が41時間/週、9時間/日となっていても、40時間/週、8時間/日に短縮された形で解釈されます。なお、所定労働時間には休憩時間は含まれまれません。
又、法定労働時間は労働時間の上限を定めるもので、始業、終業時間に関する制限はありません。
では所定労働時間を超えた労働については、どのように取り扱われるのでしょうか?
法律上、時間外労働とは、法定労働時間を超えて労働した場合を指し、労働者は、賃金の25%以上の割増賃金を受け取ることが出来ます。しかし、所定労働時間と法定労働時間が異なる場合、法定労働時間を超えない範囲についての所謂「法定内残業」については、通常賃金の時間給相当を受け取ることは出来ますが、使用者には割増賃金の支払い義務はありません。
時間外労働は就業規則に定められるだけではなく、労使協定(36協定)とその協定の所轄労働基準監督署への届け出が必要になりますが、法定内労働に関しては、その必要もありません。
しかしながら、所定労働時間内であれば、どのような労働形態でも構わないということはありません。深夜労働(22時~翌5時)に関しては、労働基準法の定める割増賃金の支払いが義務付けられます。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。