労働基準法では、労働時間や休憩、休日を最低守るべき基準として定めており、違反した場合は罰則規定があります。
この基準は、原則すべての労働者に適用されますが、次の条件に当てはまる人については、除外されます。
<法定労働時間の適用除外者の基準>
① 農業・水産業に従事する者
自然状況によって労働時間が左右されやすいため。
ただし、林業については、農業・水産業に比べ自然の状況に左右されにくいため除外されません。
② 管理・監督者
課長・部長などの役職名ではなく、実態によって判断されます。
具体的な判断基準は次の通り
(1) 労働時間の管理を受けていない
(2) 賃金面で一般社員より優遇されている
(3) 一定の権限があり管理的な仕事をしている
③ 機密の事務を取り扱う者
秘書など、経営者、監督者、または管理の地位にある者の活動と一体不可分であり、
出退勤等について厳しい管理を受けない場合。
④ 監視・断続的労働従事者で所轄労働基準監督署長の許可を受けた者
保安や守衛業務などの手待ち時間の長い業務で所轄の労働基準監督署に申請し、許可を受けた場合にのみ除外が許可されます。
本来の業務が常態として身体または精神的緊張が高い業務、プラント等における計器類を常に監視する業務、危険または、有害な場所における業務従事者の除外は認められていません。
これらの条件にあてはまる場合、残業、休日労働に関して、賃金を支払わなくても違法ではない、という事になります。ただし、深夜労働とについては除外されていませんので深夜労働をした場合は割増賃金を支払わなくてはいけません。
②の管理監督者についてもう少し詳しく説明します。
「①労働時間の管理を受けていない」ということは、出退勤について制約がない、という事です。「②賃金面で一般社員より優遇されている」とは管理監督者になると残業代がなくなりますが、それによって事実上、給与が下がってしまうという事が起きれば、管理監督者として認めない要素になりえます。又「③一定の権限と管理的仕事」については、会社の経営方針や労働方針の決定に関与しているか、重要な会議や採用面接に参加させているかどうか、という点で判断します。
昨今、この法案の違法な拡大解釈により、実際は上記の条件を満たさない場合でも実質を伴わない管理監督者に昇進させ、不当に残業や休日労働を課し、残業代を与えない「名ばかり管理職」問題が後を絶ちません。トラブルを避けるという意味でも、就業規則をしっかり確認しましょう。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。