会社は残業代さえ払っていれば、労働者にいくらでも残業をさせる事ができるの?労働者は残業代と引き換えに、際限なく労働を課されてしまうの?
労働基準法によって労働時間の上限値は、法定労働時間(実働時間)によって定められています(8時間/日、40時間/週、一部業種は44時間/週)。
しかし、36協定を締結し、所轄労働基準監督署へ届け出ることによって、法定労働時間を超える労働、休日労働が許可されます。ただし、ここでも延長限度時間が設定されています。
さらに、特別条項付きの労使協定の締結によって、実質無制限に残業ができるようになってしまいます。
時間外労働については、法定労働時間を超えた時間について決められていますので、法定労働時間内の所定労働時間(会社が定めた労働時間)を超えた労働「法定内残業」については、限度時間には含まれません。
36協定による限度時間適用除外の業種は次の通り
1. 工作物の建設等の事業
2. 自動車の運転の業務
3. 新技術、新商品等の研究開発の業務
4. 労働省労働基準翌朝が指定する事業または業務(ただし、1年間の限度時間は適用されます。)
又、一定の育児・介護を行う労働者がが請求した場合は150時間/年、24時間/月以内とされています。
ここで気になるのが特別条項付きの労使協定です。恒常的にこの「特別条項付きの労使協定」に基づく残業が多いため、この「特別条項」は「臨時的な場合に限る」という条件が加えられ、無制限な残業に歯止めをかけています。延長時間、回数、事由などを具体的に記す事が条件に加わり、事由についても、臨時的であるという事を具体的かつ明確に示す事が必要となっています。又、賃金面も見直されました。平成22年4月から60時間/月を超える法定外残業について、賃金の割増率が25%から50%に引き上げられます。(中小企業については、当面執行が猶予されています)
法律を厳しくすれば、結局、そのしわ寄せは企業へ、最終的には労働者へ来るものです。実態を伴わない役職への昇格によって、本来、労働基準法によって守られるべき人が、労働基準法の適用除外となり、不当な、残業、休日労働を課せられているという事実もあります。しかし、これは、労働基準法違反になる場合が多いのです。本来、守られるべき人は、必ず守られるのです。所轄の労働基準監督署などに相談してみましょう。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。