法定労働時間とは、何でしょうか?それ以上、労働することは違法なのでしょうか?
法定労働時間とは、労働基準法によって決められている労働時間の上限です。
実際は、一日8時間、一週間40時間とされています。ただし、次の事業場においては特例措置として一週間44時間労働が認められています。(一日8時間の制限は変わりません)
(労働時間44時間/週が認められている事業場の業種)
① 商業
② 映画・演劇業
③ 保険衛生業
④ 接客娯楽業
これら①~④の業種で、常時10人未満の労働者を使用する事業場に限る
又、タクシー運転手は一年以内の期間を平均し、16時間/日が認められるなど、いくつかの業種によって特例が認められています。
さらに、トラック運転手については、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年)が定められ、運転時間9時間/日(連続運転時間4時間以内)、44時間/週、その他、拘束時間、休憩時間、休息時間などが規定されるようになりました。
1日ごとの労働時間の把握が難しい職種について適用される各制度についても、次のような措置がされています。
・変形労働時間制 一定期間を平均し、1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲で特定の日または週に法定労働時間を超えて労働する事が認められています。
・フレックスタイム制 一定期間(1か月以内)を平均し、1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、その期間における総労働時間を定めた場合に、その範囲内で労働者が自主的に、始業・終業時間を決める事ができます。
・みなし労働制 事業所外で労働する場合、原則として所定労働時間労働したとみなされます。又、裁量労働制の場合、実際の労働時間と関わりなく労使協定または労使委員会で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。
いずれも、労使協定の締結や、就業規則などで制度を導入する事、所轄の労働監督署への届け出等が義務付けられています。
法定労働時間を超える時間外労働、休日労働、深夜労働は、36協定を結ぶ事によって、初めて可能になります。(ただし、時間外労働には上限が定められています。)又、時間外労働、休日労働、深夜労働(22時~翌5時)に関しては、割増賃金を支払うことが使用者に義務付けられています。
法定労働時間は、会社によって定められたものではなく、法律の定めです。これに違反する使用者へは、厳しい罰則規定があります。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。