「正社員」や「正職員」といった言葉は、比較的、新しい言葉です。近年の雇用形態の多様化によって生まれた言葉で、アルバイト・パート・契約社員などの「非正社員」「非正職員」と区別する為に用いられています。
では、「正社員」「正職員」は「非正社員」「非正職員」とどのような区別がされているのでしょうか?
1. 終身雇用
雇用期間は定めず、定年まで雇われる場合が多い
2. 賃金
加齢に伴って賃金があがる年功序列型が多い
3. 昇給・昇格
加齢に伴い、年齢に応じた役職になる事が多い
総合職・一般職の区別がある場合は、総合職の方が昇給・昇格スピードが速い
4. 労働組合
非正社員に比べて労働組合への加入率が高い
5. 会社との関係
長期間、同じ会社に所属する事が期待され、会社からの恩恵も受けているので、会社の不祥事・企業犯罪には口を閉ざす事が多い
このように、退職まで同一企業で働くという事で、企業側にも、労働者側にも大きなメリットを生むはずの正社員(正職員)ですが、バブル崩壊とともにやってきた不況の波によって、この雇用関係を脅かされています。
人件費削減を余儀なくされるようになった企業は、正社員のリストラ、年功序列型の昇給・昇格から、仕事の成果が昇進・昇格に反映される(成果主義)ようになり、労働組合への加入率も減っていきました。そして、当然、正社員の採用も抑えられるようになってきたのです。
「名ばかり正社員」という言葉も生まれました。非正規社員と変わらない労働条件や労働環境であり、賃金も低く、定期昇給・ボーナスのいずれか(または両方)がない、中には、賃金が最低賃金を下回るケースさえあるのです。彼らは、「周辺的正社員」とも呼ばれ、対語として「中心的正社員」という言葉さえ生まれています。
一週間の労働時間が60時間以上の社員の比率が、中心的正社員が26%に対して周辺的正社員は38%、さらに、月収20万円以下での比率では中心的社員は19%、周辺的社員が53%、という調査結果(2008年NPO「POSSE」)も出ています。いかに、周辺的社員が低賃金でありながら、長時間労働を強いられているという事が分かります。
この雇用形態の変容は日本の社会にとって、いい結果をもたらすわけではありません。「いつリストラされるかわからないから、仕事への意欲は低下する」のは当然です。終身雇用による経済合理性や成果主義の見直しもされるようになっています。
雇用形態が、変容する中で、就業意識も変わってきました。「短時間正社員制度」という新たな雇用のスタイルも生まれています。昔は「社員」と呼ばれていた人たちが「正社員」と呼ばれるようになり、「中心的正社員」という言葉が生まれてきました。雇用形態はどこまで多様化していくのしょうか?
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。