残業代の請求の際の証拠ですが、残業代は勤務時間によって発生するものですから、勤務記録が残っている事が一番望ましいです。しかし、タイムカードの一部、または全部がない、手に入らない、という事態は想定されます。そういった場合でも、訴訟を起こすことは可能です。
まず、会社側(使用者)は労働者の勤務時間の管理をする事、その記録を3年間保管することが義務付けられています。ですから、会社に勤務記録の開示を求め、残業代を算出することができます。しかし、交渉の段階では開示は任意です。会社側から開示を拒否される事も少なくなく、その場合、裁判を起こしてから、裁判所から勤務時間などの記録の開示命令を出してもらう事になります。ただ、勤務記録の改ざんも、多く見られ、改ざんを証明することはとても困難です。
勤務記録が手に入らない場合でも、業務日誌、出退勤時間を記録したメモ、パソコンのログ、通勤記録となるパスネットの印字、会社から自宅または家族への電話の着信記録なども証拠能力を持ちます。特に、業務日誌に、出退勤時間や、詳しい業務内容、指示した上司の名前などの記載があると、さらに効力は増します。
このような証拠がなくても、あきらめないでください。残業したあなた自身が証拠です。一件ずつ根気よく記憶をもとに、残業の内容を示すことも可能です。会社側が、「労働者が勝手に、自発的に仕事をしていた」と主張する事があります。しかし、職場の上司が、残業をしている事を知った上で、中止せずにほっておいたのは、業務上必要なものと認め、承認する意思があったとみなすことが出来るので、立派な残業の証明になります。
勤務記録が手に入らない事は、よくあることです。しかし、正しい主張をするあなたを救う手段は、いくらでもあります。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。