残業代の未払い請求は、在職中であるか否かに関わらず可能です。
労働者は労働に対する賃金を受け取る権利があるのですから、当然といえば当然なのですが、一方で、在職中に名乗りを上げて会社を訴える事は、社内での立場に支障をきたすのでは?との懸念が生まれることも確かです。
在職中にサービス残業の訴えを起こす上で、報復人事、退職金、転職への影響などデメリットばかりが思い浮かんでしまいますが、在職中だからこそのメリットもあるのです。
サービス残業の請求を行うにあたって、最も重要となるのが、サービス残業をしたという「証拠集め」です。証拠能力の高いタイムカードや出退勤簿、業務日誌、パソコンのログなど、退職してしまっていると、社内の人の助けがない限り、手に入れることは困難です。又、サービス残業の未払いについては、2年の時効があります。2年を過ぎた分についてはかなり請求が困難でしょう。
会社側にとっても在職中の労働者からの訴えであることのメリットがあります。
サービス残業が発覚した際に、会社が支払わなくてはいけなくなる未払い残業代や付加金(未払い残業代とは別に支払わなければいけない物)には利息(「遅延損害金」)が掛かります。未払い残業代に対する遅延損害金は、在職中であれば年6.0%ですが、退職してしまっていたら、年14.6%となってしまいます。
しかし、デメリットはどうしても気になりますね。
サービス残業が認められない場合、労働者は労働基準監督署に「申告」、監督署に情報を提供し、監督を要請することが出来ます。この事は労働基準法によって次の通り守られているのです。
労働基準法第104条
1. 事業場に、この法律またはこの法律に基づいて発する命令に違反する事実がある場合、労働者は、その事実を行政官庁または、労働基準監督官に申告する事ができる。
2. 使用者は、前項の申告をしたことを理由に、労働者に対して解雇、その他不利益な取り扱いをしてはならない。もし、この申告が会社によって外部に漏れる、転職に支障をきたすなどという事があれば、損害賠償の請求も出来ます。
残業代を請求する度に、会社を辞めていたら、キリがありません。それこそ、あなたのキャリアにとって大きな打撃です。今、各所で、ザービス残業をしている労働者の助け
となる取り組が行われています。労働基準オンブズマンなどが一例です。労働基準オンブズマンは「サービス残業」をなくす事を目的に、弁護士の立場で、労働基準法違反について、労働基準監督署への告訴、告発、申告、通告という手続きを行う取り組みをしています。
あなたの一歩が、同じ職場の多くの人を助ける事にもつながります。勇気をだしてみてはどうですか?
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。