割増賃金の不払いについては、労働基準法に違反しますので、支払われなければいけませんが、いつまで遡って請求出来るのでしょうか?
会社は、労働者の勤務状況を3年分保管する事が義務付けられています。それを受けて、賃金債権の消滅時効、つまり、未払い賃金の時効は2年となっています(退職金の場合は5年)。つまり、会社側からすると、2年間は遡及支払い義務があるという事です。
さて、この時効ですが、「その権利が発生したとき」つまり「賃金の支払い日」が起算日となります。しかし、この時効の進行中に時効の基礎を覆すような事態が発生した時、時効の経過をリセットする制度「時効の中断」があります。中断事由は労基法では定めがありませんが、民法では、差押、仮差押、仮処分、債務者の承認、訴訟の提起(請求)、支払い督促(請求)などを挙げています。
訴訟を起こしてから、裁判終了まで時効は中断されますが、判決が確定した時点から、時効は発生します。しかし、それまでの時効経過期間はリセットされて、新たに時効期間を計算し直します。ここでは、確定判決に対する時効となりますので、債権の時効期間10年が適用されることになります。
労働者の訴えではなく、労働基準監督署の調査によって賃金の未払いが発覚した場合は、是正勧告示される遡及支払い期間の相場は3カ月と言われています。その背景には、会社の「割増賃金の対象となる労働時間の調査」に要する時間が某大になってしまう事への配慮があり、「3カ月が限度」と判断しているという事が実態ではないかと考えられます。労基署の立ち入り調査は、労働基準法、労働安全衛生法に基づいての、法令違反の発見と、その違反事項の是正が目的とされていることから考えても、妥当な期間かもしれません。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。