「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を
超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げるよう努めること等とされます。
現状の労働時間は、週60時間以上労働する労働者は、全体の10%という高い割合になっています。
子育て世代でもある30代の男性の中で、週60時間以上働いている人の割合は、20%と特に高い数字になっています。
週60時間以上という、長時間労働をしている労働者が多いという現状を踏まえ、労働時間の見直しを図るために、改正労働基準法が成立しました。
長時間労働を抑制して、労働者の健康と労働時間の生活のための時間を確保し、仕事と生活のバランスのとれた社会を実現するために、労使の努力によって可能な限り労働時間を抑制してもらうことが、改正労働基準法の趣旨といえるでしょう。
労働時間は、労働基準法によって、原則1週間に40時間、1日に8時間(「法定労働時間」といいます。)と定められています。
ただし、労使協定(36協定)を結んでいる場合は、一定の限度内で、企業は労働者に法定労働時間を超えて働いてもらうことができます。その限度となる時間は次のとおりです。
(「時間外労働の限度に関する基準」)
ただし、臨時的に特別な事情がある場合に限り、企業は、上記表の限度時間をさらに超えて労働者に働いてもらうことができます。そのような事情を踏まえて締結する協定を「特別条項付き36協定」といいます。
平成22年4月の労働基準法改正と同時に、この「時間外労働の限度に関する基準」も改正され、労使で「特別条項付き36協定」を締結する際には、新たに以下の3点が必要となりました。
1 限度時間を超えて働かせる一定の期間ごとに割増賃金率を定めること
2 1において、割増賃金率を定める際には、法定割増賃金率(25%以上)を超えるように努めること
3 そもそも延長可能な時間数を短くするように努めること
ただし、2と3は、「努めることと」ありますように、あくまでも努力目標であって、「時間外労働の限度に関する基準」の見直しについては、実質的には、従来と同様に取り扱うことが可能であるという解釈もできます。
「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使当事者は限度時間を 超える時間外労働に対する割増賃金率を引上げる努力をするように表記されています。
月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければなりません。
引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を 設けることができます。
労使協定により年次有給休暇を時間単位で付与することができるようになります。